みどころ HIGHLIGHT
展覧会概要 OUTLINE
奈良、東大寺の北側に建つ正倉院は、9000件もの宝物を1300年近く地上で守り伝えた”奇跡の宝庫”です。
それは、「偶然に残った宝物」ではなく「守り、残してきた宝物」であり、時代を超え、人の心と手を通じて紡がれてきました。
正倉院のはじまりは? 宝物は何故集まったのか? どのように、誰が守り続けているのか?
今更聞けない正倉院から紡がれる未来まで、正倉院1300年の物語を歩く展示イベントです。
宮内庁正倉院事務所全面監修のもと、大阪・関西万博が開催される2025年に開幕する「正倉院 THE SHOW」。
「愛 美 紡ぐ」をテーマに宝物の背景にあるさまざまなストーリーを紐解きます。
宝物を360度からスキャンして取得された高精細な3Dデジタルデータに演出を施した展示を行い、宝物の細部や質感をリアルに感じていただけるのも本展ならでは。
長い歴史を紡ぎ、今日からもまた未来へ紡がれる「正倉院という物語」の世界へぜひお越しください。
本展のみどころ HIGHLIGHT
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STAGE02 映像イメージ 最新のテクノロジーを用いた高精細な3Dデジタルデータで宝物の細部や質感をリアルに紹介
宝物を360度からスキャンして取得された高精細な3Dデジタルデータに演出を加えた映像を大スクリーンで上映。肉眼では捉えにくい宝物の細部や質感も詳細に紹介し、没入感のある空間で宝物美の世界を深く味わっていただきます。
- 「3Dデジタルデータ」とは
- 正倉院宝物の「3Dデジタルデータ」は、最新の3次元計測や高精細写真撮影、質感取得技術を駆使して作成された精緻なデジタルアーカイブです。宮内庁正倉院事務所とTOPPAN株式会社は、2019年から螺鈿紫檀五絃琵琶をはじめとする宝物のデジタルアーカイブを実施。本展では選りすぐりの宝物の3Dデジタルデータを活用し、通常の展示室の環境では肉眼で捉えづらい細部や質感までも克明に再現し、単眼鏡を使わずとも実物に包まれるような臨場感あふれる鑑賞体験を提供します。
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3Dデジタルデータ 漆金薄絵盤
撮影および計測:宮内庁正倉院事務所・TOPPAN株式会社
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「再現模造」を最新のデジタル制御による映像・音楽・照明との組み合わせで展示
宮内庁正倉院事務所が研究・製作を手がける再現模造からは、宝物が高度な技術を駆使し、精緻に作られていることがよくわかります。再現模造展はこれまでに何度も開催されていますが、本展では最新のデジタル制御による映像・音楽・照明との組み合わせで再現模造を展示することにより、新たな鑑賞体験を提供します。
- 再現模造とは
- 正倉院宝物をもうひとつ作ること――それが正倉院事務所の目指す再現模造です。1972年に開始された模造事業では、単に見た目を似せるのではなく、各種の分析装置や光学機器を駆使して当時の素材や技法を探り、時に試作を繰り返しながら、宝物本来の姿を再現することに努めています。現在までに作られた再現模造は50件。今回はそのなかから聖武天皇ご遺愛の琵琶や肘つきなど、たぐいまれな出来映えを示す宝物の再現模造が出陳されます。
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模造 螺鈿箱 -
模造 螺鈿紫檀五絃琵琶
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気鋭のクリエイター陣が言葉・音楽・空間を演出、宝物の新たな楽しみ方を提案
コピーライターの梅田悟司氏が紡ぎ出した詩的な文章が「物語」を彩ります。空間デザイン、グラフィックなども気鋭のクリエイター陣が担当。宝物の美を活かし、物語世界に浸れる演出に取り組みます。
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現代アーティストが正倉院からインスピレーションを受けて手がけた新作もお披露目
現代でも色あせることのない正倉院宝物の美が、アーティストとのコラボレーションにより、新たな魅力を創出します。幅広いジャンルで活躍する現代アーティストが、正倉院にインスピレーションを受けて制作した新作を展示します。
自然と生命への賛歌を纏う
職人技術の粋を集めたペルシア風の水瓶「漆胡瓶」。
動植物、昆虫など生き生きと繊細に刻まれた文様をなぞり、現代のファッションとして甦らせました。- 篠原 ともえさん
(デザイナー・アーティスト) - 1979年東京都生まれ。文化女子大学短期大学部服飾学科卒業。95年に歌手デビュー。現在は、デザイナーとして多方面で制作活動を行う。2020年、アートディレクターの夫、池澤樹氏とともに「STUDEO」を設立、22年、デザインを手がけた革きものがニューヨークADC賞の2部門で受賞を果たし、大きな話題に。
正倉院を未来に繋ぐ架け橋に
昭和20~30年代に録音された琵琶や尺八などの宝物の音源。
そこにピアノやベースといった現代の音色を融合させ、時を超えて響く、新たなメロディーが誕生しました。- 亀田 誠治さん
(音楽プロデユーサー、ベーシスト) -
1964年アメリカ・ニューヨーク生まれ。GLAY、椎名林檎、スピッツ、平井堅、いきものがかりほか多くのアーティストのプロデュースやアレンジを手がける。2007年、15年の日本レコード大賞にて編曲賞、21年の映画『糸』で日本アカデミー賞優秀音楽賞を受賞。2019年よりジャンルを超えて音楽体験ができるフリーイベント「日比谷音楽祭」の実行委員長を務めるなど様々な形で音楽の魅力を伝えている。
▶亀田さんからのコメントはこちら
巨大な立体となり、空間に浮かぶ
正倉院正倉の見たことのない表情を捉えた作品群。
その荘厳な姿を捉えた写真は、巨大な立体として展示空間に現れ、建築そのもののように佇みます。- 瀧本 幹也さん
(写真家) - 1974年愛知県生まれ。ポートレイト、静物など、様々な被写体と向き合う中培われた経験と技術のもと、独自の視点で捉えた作品は国内外で高い評価を得る。代表作に、『LUMIÈRE』 、『PRIÈRE』、『LAND SPACE』などがあり、是枝裕和監督の映画『そして父になる』、『海街diary』、Netflixシリーズ『阿修羅のごとく』では撮影監督を務める。
1300年前の物語から紡ぐ
見たことのない色彩や素材、文様に彩られていたであろう1300年前の世界
その物語を想像し、当時には存在しなかったデジタルと、筆というアナログな道具で文様を紡ぎました。- 亀江 道子さん
(陶芸家・絵付師) - 1978年神奈川県生まれ。京都伝統工芸専門学校に学び、卒業後はヨーロッパ、アジア各地に移住し、細密画の腕を磨く。精緻な描線と色遣いにこだわる京薩摩焼の技法を用い、自然の花々を緻密に表現する作品を制作する。日本橋髙島屋での個展をはじめとして、銀座蔦屋書店やAsia Hotel Art Fair HongKong、KOGEI Art Fair Kanazawaなどの企画展やアートフェアに参加。Paperblanksのカバーデザインなども手がける。
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「瑠璃坏」が完成!展示会場でお披露目します。
輪飾りが付いたコバルトブルーのグラスを、銀製の台脚で支える「瑠璃坏」。グラス部分は西方で作られ、台脚は中国で付けられた、東西の文化の融合を示す品と言われています。正倉院宝物の実物は、グラスを載せる「受け座」が明治時代の修理で当初のものから変わっており、また、台脚の銀の上に施されている金の鍍金がほとんど見えなくなっています。今回はレプリカ作成にあたって、後に発見された受け座の形を模して、台脚を製作。さらに、台脚の全体に金鍍金をほどこし、1300年前の姿を表現しました。ガラス工芸家の迫田岳臣氏と金属造形家の田中均氏との合作です。
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▲金鍍金を施した台脚 ▲完成したレプリカ「瑠璃坏」 -
ガラス工芸家 迫田岳臣氏
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監修者ごあいさつ GREETING
この度、「正倉院 THE SHOW」が開催の運びとなりました。奈良、東大寺旧境内にある正倉院は、9000件もの宝物を1300年近く地上で守り伝えた、まさに“奇跡の宝庫”です。毎年秋には正倉院展が開かれていますが、今回は、この実物の観覧とは異なるアプローチ、すなわち最新のデジタル技術を駆使した手法で、皆様が体験したことのない、宝物の楽しみ方を提案させていただきます。宝物の価値をより深く味わい、皇室のかけがえのなさや伝来を支えた人々の想いなどにも触れていただく機会になれば幸いです。
宮内庁正倉院事務所長 飯田剛彦